ホーム > コンサルティングレポート > 福祉経営支援レポート > 『能力・教育・訓練』『シミュレーション』〜PDCAサイクルを実行させるための土台(1)
福祉経営支援レポート 平成20年9月20日号 2007.09.20
■PDCAサイクルを実行させるための土台(1)
リスクマネジメントを進めるためには「PDCAサイクル」を意識しながらリスクマネジメントを行うことと、「PDCAサイクルを実行するための土台」が必要であるということを前回の福祉経営支援レポートでお伝えしました。そして、その重要なポイントとしてJISQ2001の『リスクマネジメントシステム構築のための仕組み』から下記の小項目を挙げました。
- 3.8.1 能力・教育・訓練
- 3.8.2 シミュレーション
- 3.8.3 リスクコミュニケーション
- 3.8.4 リスクマネジメントシステム文書の作成
- 3.8.5 文書管理
- 3.8.6 発見したリスクの監視
- 3.8.7 記録の維持管理
- 3.8.8 リスクマネジメントシステム監査
今回は、『能力・教育・訓練』と『シミュレーション』について見ていきます。
■『能力・教育・訓練』 〜RMに必要な能力は身につけることができる〜
(1)能力
JISQ2001には「リスクマネジメントシステムを運用するための要員は、その役割ごとに必要な能力を持つことが望ましい」とあります。介護・福祉施設における必要な能力の一例を挙げてみると、次のようになります。
- 経済、法務、財務、保険などリスクマネジメントに関する基礎知識がある
- こうしたらもっと安全なのに」という改善点やリスク(危険)自体に気づくことができる
- 緊急時に適切な指揮・誘導や応急措置ができる
- 職員や利用者の方々の良き相談相手となれるようなコミュニケーション能力がある
- 利用者の変化に気づく、その気づきを周りと共有することができる・・・など
新入職員からリスクマネージャーなどリスクマネジメント活動を統括する方まで、役割ごとに当然、必要な能力は変化します。リスクマネジメント活動がうまく機能している施設というのは、施設で働いている各人が、自分に何が必要か、施設内のリスクをどうすれば軽減できるのか、利用者の方々にどのように貢献できるかを自然と考える風土や習慣が根付いています。
(2)教育・訓練
リスクマネジメントに必要な能力は、教育や訓練によって、身につけることができます。例えば、「リスクに気づく力」というと、その人が生まれもっと能力であると考えがちですが、後天的に教育や訓練によって、身につけることができるのです。KYT(危険予知トレ―ニング)の時間を定期的にとることで、職員の気づきの力が上がった施設があります。
ただ、よく成功要因を探ってみると、訓練自体がためになったというよりも、色々な職員と話し合うことで他人の気づきを共有できたり、先輩職員の経験談を聞いたりすることが効果的のようです。やはり、日々の業務の積み重ねで、よい風土やよい習慣を定着させていくことが欠かせません。■『シミュレーション』 〜知識や教育だけではなく、実践するために必要なこと〜
知識を仕入れること、教えることは必要ですが、十分ではありません。実務では、業務を実践できるのかが問題となります。そこで、シミュレーションを行います。シミュレーションとは防災訓練のように、『状況』(2階から出火)や『参加者の役割』(誘導者など)を設定し、そのあとの『過程』(出火の発見から退避完了まで)を実際に行ってみることです。下図のようなサイクルを意識しましょう。
上図のようなサイクルで実践できるまで行います。例えば、ヒヤリハットの分析でも話し合うだけではなくて、「次に同じような状況になったら未然に防げるようにする」ことをシミュレーションの目的として、実際に同じ状況を作り出して、シミュレーション(ロールプレイング)を行います。話し合うだけだとわからない課題「時間がかかりすぎる」「ほかの利用者に対する配慮が足りない」などを検証します。
シミュレーションで出来ないことが突発的なヒヤリハットや事故が発生した際に対応できるわけがないと職員全員が考え、真摯な姿勢で臨みましょう。その際、職員のモチベーションを高めるためにフォローしていくのは、リスクマネジメント活動を統括する方にとって、重要な役割です。
■株式会社 日本経営リスクマネジメント 今村 文隆
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